桐タンスの秘密 |
桐は、ゴマノハグサ科(ノウゼンカヅラ科と称する説もある)の中のキリ属に属する植物です。
ゴマノハグサ科は世界で180属3000種ある中で、高木となるのはキリ属のみで、他のほとんどが草本です。
桐の中心部は必ず穴があいて空洞になっています。
この空洞は苗木の段階からあり、それはあたかも草の茎そのものです。
桐を育ててみると、桐は草の仲間であると実感します。
1〜2年目はするすると伸びて、まるで大きなヒマワリといった印象です。そして、年々木らしくなってきます。
表面の皮も若いうちは滑らかですが、年を経るうちに硬くゴツゴツしたものになります。
「火事で桐タンスの表面が焦げても、中の衣類は無事だった」という話が語られています。
その秘密は、桐特有の組織構造にあります。
桐は、他の木より組織内に空隙が多く、吸水性に優れています。
そのため、消火の水をすぐに吸収します。たくさんの水分を含むと火が移りにくくなるのに加え、膨張するので家具の隙間をふさぎ、中の衣類を炎から守ることが出来るのです。
昔から、「火事になったら桐タンスに水をかけろ」と言われてきました。
桐という素材を知り尽くした知恵が伝わります。
例えば、出張などで長期間引き出しを開けなかった場合、プラスチックなどの収納ボックスなどでは、虫食いやカビが生じるでしょう。
良質の天然木と桐を用いた高級家具なら、そんな場合もしっかり衣類を守ります。
それは、家具が自然に換気や調湿をするからです。
乾燥した時期の木は縮んで通気性を上げ、梅雨時期などには木が吸湿して衣類まで湿気を届かせません。
特に桐はその効果が高く、また他の木とは違って桐は虫が嫌うアルカリ性で、防虫効果にも優れています。
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家具の手入れ方法 |
湿気は禁物 |
木材は湿気を含むと膨張します。
精巧なつくりの家具は、梅雨時などには引き出しが硬くなり、内部に湿気が入るのを防ぎます。
しかし、あまりにも湿度が高い部屋では、引き出しが開かなくなったり、家具の裏側にカビが生えたりします。
特に、コンクリート造りのマンションなど、最近の住宅は気密性が高いので湿気が溜まりやすい構造になっています。
こうした場所では、壁から家具を少し離して設置し、通気性を良くして下さい。
また、晴れた日には窓を開け、時には家具の内部も開けて乾いた空気に触れさせましょう。
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必ず水平に設置 |
扉の閉まりが悪くなったり、引き出しが硬くなる原因の大半は、家具の「ねじれ」によるものです。
開閉状態が悪いまま長い間使うと、蝶番や取っ手が壊れます。
ほとんどの床は、微妙な傾きや高低があるものです。特に、畳の上に家具を置くと重みで少しづづ沈み、僅かながら傾いてしまいます。
もし、僅かでも傾いていたら、板切れや新聞紙などをあてがって水平になるように調整してください。
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転落防止の対策 |
背の高い家具は、強い地震や子供がよじ登ったりすると転倒して怪我をする場合がありますので、転落防止の対策をされることをお勧めします。
家具の上下が分離するタイプは、上側が倒れ落ちることがありますので、必ず付属の連結金具やジョイントボルトなどで上下を固定して下さい。
万一に備えて家具を建物に固定して下さい
転落防止の固定金具には、L型金具やベルト式、ワイヤー式など、各種のタイプがホームセンターなどでも市販されていますが、壁面の状態によっては取り付強度が確保できないことがありますので、
状態に応じ適切な金具を選んでしっかりと固定して下さい。
この他、家具の耐震金具として、振動で扉や引出しが勝手に開くのを防ぐ開放防止金具や、棚から収納物が落ちないようにする落下防止金具、割れたガラスで怪我をしないようにする飛散防止フィルムなどがあります。
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直射日光を避けてください |
家具は、強い光に長期間さらされると変色したり、ヒビ割れが生じることがあります。
直射日光があたる場所には家具を置かないで下さい。
無理な場合は、カーテンなどで日光を遮りましょう。
また、熱も大敵ですので、ストーブなどで高熱を当てない様にしましょう。
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汚れの手入れ方法 |
●塗装もの |
柔らかい布で乾拭きして下さい。
汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤を浸した布で汚れを落とし、その後、乾いた布で拭いて下さい。
ワックスや科学雑巾は使用しないで下さい。
塗装が化学反応を起こし、くすみや変色をする恐れがあります。
白木のもの(桐たんすなど)
柔らかい乾いた布で、軽くホコリや汚れをぬぐう様に拭いて下さい。
水分や油分は禁物です。
表面に跡形が残ります。
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●表面に傷が付いた時 |
引っかき傷程度の小さなものなら、同色のクレヨンかマジックを塗ると目立たなくなります。
また、クレヨン状の傷隠し専用材も市販されています。
色数が豊富な上、使い方も簡単なので大変便利です。
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●引出しが硬くなった時 |
原因が「ねじれ」による場合がありますので、まず水平に設置してあるか確認して下さい。
僅かでも傾いていたら水平になるよう調整して下さい。
それでも硬い場合は、引出しを抜いて1〜2日陰干しした上で、すれあう部分に固形石鹸か石ロウを塗って下さい。
ただし、ロウソクのロウは塗ってはいけません。
また、サンドペーパーで磨いてみるのも一つの方法です。
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●カビが生えた時 |
最近の住宅は、昔の家屋と比べて床下が低く、またアルミサッシの普及などにより部屋が密閉状態に近い事から、湿気が溜まって箪笥の裏側などにカビが生えるケースが多くなっています。
また、新築された家の壁にはかなりの水分が含まれており、ある程度乾くまで4〜5年は要すると言われています。
特に、コンクリート壁は温度差が生じると結露するので、湿度が低い冬場でもカビが生えることがあります。
こうした部屋では、必ず壁から15〜20cm程度離して家具を設置して下さい。
もしカビが生えた場合は、家庭用カビ取り材(主成分=次亜塩素酸ナトリウム)を水で薄めたものを布に浸して拭き取って下さい。
なお、カビ取り材の濃度はカビの色により、白っぽいものは濃度を薄く、緑や黒っぽいものは濃度を濃くしてお使い下さい。
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